限定承認の事例

限定承認を行うための手続きは複雑で、さらには相続人全員で行う必要があり、相続人の中にひとりでも反対する人がいる場合は限定承認の手続きをおこなうことはできません。よって限定承認を選択される方は少ないのが現状です。しかしながら、ケースによっては有効な方法でもあります。

プラスの財産：自宅（被相続人持分3分の１、評価額300万円、相続人が同居）

マイナスの財産：1000万円

負債の方が多いので相続放棄を検討されるかもしれませんが、相続放棄をしてしまうと、被相続人名義の自宅を手放すこととなり、同居の相続人も自宅を失います。しかし、限定承認によるプラスの財産は相続人が先買権を持つため、その評価額を用意出来れば優先的に買い戻し、自宅に住み続けることが可能となります。

プラスの財産：800万円

マイナスの財産：負債があるかどうかは不明

被相続人に借金があるかどうかわからないといった場合、 財産調査の後に借金が発覚することも考えられますので、限定承認が有効です。財産調査で分からなかった借金が後に発覚した場合、800万円以上の負債を負うことはなく、弁済後、余った財産は受け取ることが可能です。

プラスの財産：600万円

マイナスの財産：600万円程度

プラスの財産、マイナスの財産のどちらが多いのか判断が難しい場合においては、限定承認をすることでプラスの財産の範囲内で借金の返済をすることが可能となります。